NPO教育支援・門真っ子便り 2007・9・28
暑い日が続いておりますが、お元気におすごしでしょうか。
私たちは週一度皆さまの子どもを預かっています。子どもを育てるということは、親と社会の最も大切な仕事で、私たちはそのほんの一部をお手伝いしようとしています。
今、子育てがなかなか難しい時代ですね。たとえば「キレやすい」。こんな子どもはどこに理由があるのでしょうか。一つの回答・一つの方法ですべての子どもが良くなるとは考えられません。複雑な世界ですから。でも、子どもを育てるには、いくつかの基本となる「子育てのやり方」があるように思います。9歳から11歳までの皆さんの子どもたちの子育ての基本とはどんなことでしょうか。今回は黒川伊保子さんの『「しあわせ脳」に育てよう!』という著書から紹介することにしましょう。どうぞ子育てに少しでも役立てていただければと願います。でも、なかなかそんな風にできる状況でない方もいらっしゃいます。そんな方は神経質にならずに、子どもと話し合ってお互いに出来ることをやっていただければいいんじゃないでしょうか。9歳から11歳まで、脳にとっては「ゴールデンエイジ」と呼ばれるこの時がとても大事です。
4歳から12歳までの子育て基本ル−ル
「早寝・早起き・朝ご飯・読書」
「早寝」
「門真っ子」に来る子どもたちに「何時に寝た?」と尋ねますと、ほとんどの子どもが「8時!」「9時!」と答えております。感心です。何故、早寝が大切なのか?それは脳の働きと関係あるからです。
脳には「海馬」という「知識工場」があります。海馬は持ち主が眠ると活性化して今日の体験を「知識」に変換するのです。私たちは、脳の中に「眠らないと働かない知識工場」を持っているのです。
これは不思議なことですね。海馬は、今日した体験のうち、気になる場面を何度の繰り返して、大切なことを知識として記憶します。
「記憶」だけでなく、実際の体験とは異なる「仮想体験」もおこなって、「悪夢」にうなされるようなことにもなります。そうして、「想像力」を養うというようなこともするのです。
学校の勉強は、最初から「知識」の形で習いますね。でも、これもまた海馬が整理して知識化するまでは、短期間だけの記憶なのです。「勉強」も睡眠によって完成するのです。このように、勉強したことや、それ以上の発見、日常に役立つ生活の知恵も睡眠中に作られるのです。
ところで、身体が成長するのも、実は睡眠中です。
骨と筋肉の新陳代謝を促す成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。成長ホルモンは一生分泌されて、ボケ防止にとっても大切なホルモンなのですが、その性質上、大量に分泌されるのは6歳、そこから13〜14歳までが絶頂期で普通は17歳くらいまで、たくさん分泌されます。つまり、4〜12歳までの睡眠は、脳だけでなく、体格の成長にとっても重要なのです。「寝る子は育つ」と言いますが、それは確かなことなのです。
さてその睡眠ですが、その効果が最も高くなる時間帯があります。午後10時〜午前2時の間です。目の網膜が「闇」を感じると、脳には「メラトミン」という脳内物質が分泌されます。この分泌量がピークとなるのがこの時間帯なのです。
「メラトミン」は成長ホルモンの分泌を促し、海馬を活性化させます。身体と脳を育てる立役者なのです。ですから、同じ寝るということであっても、この時間帯10時から2時の間にいい睡眠をとらせてあげてください。そのためには9時にはテレビやゲームを止めて本を読んだりして、9時45分には寝床に入っているような生活がいいでしょう。寝るときは、できれば、真っ暗な部屋で眠らせてください。
特に「考える」ことと「何かを思いつく(ひらめく)」という脳の働きの基本の機能が作られるのは9歳から11歳といわれます。「何かに興味を持って取り組む」「へこたれずに挑戦する」「困難にぶつかったとき切り開いていく」このような脳の力の基本はこの3年間で作られます。その基本が「早寝」なのです。
どうでしょうか。『そんなことはなかなか出来ない』と、なげかれる保護者もあるでしょうが、子どもさんと話し合ってみてください。子どもには自分で出来る力があります。『体も大きくなるよ。勉強もよく覚えられるよ』と話してあげれば理解できるのではないでしょうか。
普段は10時には眠るように習慣つけて下さい。もちろん神経質にならなくてもいいようです。毎日絶対こうしなければならないということではありません。でも基本は「10時には寝る」「寝る時は暗くして寝る」この二つを守って、まず、いい睡眠をとらせてあげてください。
交信欄 やっと、この夏の猛暑も少しましになったかと思われるこの頃ですが、皆様、お元気にお過ごしでしょうか。門真っ子も始まり、子どもたちも元気に通ってきています。 NPO教育支援・門真っ子事務局 |